プリキス!!



「烏丸先輩がわざわざいらっしゃるということは……昨日の件ですよね。」




音楽室の隣の工芸室に入るやいなや、橘君はすごい勢いですみませんと謝罪をしてきた。



そんな橘君の様子に、天音も私も目をパチパチとしてしまう。



というのも、

“昨日の件”に全く覚えがないから。





(それでも……初伊絡みなのは確かね。)



「ええ、そうよ。きちんと説明して頂戴。」



敢えて私は鎌を掛けてみる事にした。

すると、橘君から聞かされたのは驚愕の事実。






「……今……何て言ったの?」

「……初伊が襲われたって?!」


頷く橘君。

正確に言えば襲われかけたですけど、と言うけれど、もう私の耳にも天音の耳にも入らなかった。



「何処高だ?」

「東榮です。」




考えたのは、隠飛羽一荒れている筈なのに、東西南北で一番綺麗な校舎。


荒れている高校は荒れている校舎をしている方が、まだ良い。



気味が悪いほど綺麗で真っ白なあの校舎が示しているのは、


校内の統率がかなりしっかりしている……総長に絶対服従しているという事。





それはまるで軍隊。







「「厄介(だ)ね。」」


「西なら橘君や西巴がいるし南も……吉良と言う最終手段がある。北もまぁ、不本意だけど繋がりはあるわ。……けれど、東にはまったくコネがない。」


「東の東麻美琴に兄弟はいないし、親類縁者も隠飛羽にはいなかった筈。その辺から弱みを掴むことも不可能……。」


「あとこれは、恵から聞いたんですけど東榮の不良達、烏丸の事を“カラスちゃん”って呼んだそうなんです。」



「たまたま可愛い子を狙われたって訳じゃなさそうね。」


「これからも、狙われる可能性がある。」


< 49 / 422 >

この作品をシェア

pagetop