プリキス!!







「良かったの?」


帰りの車の中で、天音に聞かれた。


「橘行成も、西巴恵も、危険人物だよ?そんなのに初伊を任せるくらいなら、生徒会に入れればいいじゃないか。」



分かってるわ、と返事をした。





「私があの子を預けたのは、橘君がいるからよ。」


「……マフィアに繋がりがあるけど。」


「でも橘君は、初伊を害したりはしない。決して。」





『烏丸先輩。俺、橘行成と言います。烏丸初伊さんの友達になりました。』



初伊が中学校に入学してすぐの夏、廊下で呼び止められて言われた言葉。

初めは、烏丸と贔屓にしたいというアピールかと思ったけれど、違った。




「家は、所謂マフィアです。」

「……は?」

「でも烏丸に迷惑は決して掛けません。掛かるようなら距離をおきます。だから、仲良くするのを許してください。」

「……。」



馬鹿みたいに真面目な表情で、頭を下げた後輩の頼みを、無下に断る事は出来なかった。




「それにね、初伊はあの子達といると、凄く楽しそうに笑うの。」


『お姉ちゃん聞いてー。恵がね───!』





くす、と思い出し笑いをしていると、天音がその様子を見て、少し拗ねたような表情をして。





「要するに、シスコン?」

「そんなところね。」

「なんだか……初伊が最大のライバルだよね。」


「なら、初伊より夢中にさせれるよう、頑張って頂戴?」




少し悪戯めいて笑いあう、そんな夕陽が綺麗な夕方だった。






side志乃 end
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