プリキス!!





荷物を置いて、メニューを見てみると、確かに隠飛羽のファミレスとは訳が違う。


まず、“最高級国産フィレ肉使用”とか、“王族御用達”とか媚売ってない。


ダイレクトに“おいしいハンバーグ”とか書かれてるよ。


そして最も違うのは……






「フライドポテト……300円?メガなのに?安っ!」



そう、値段。



千円札を出さないで買えるなんて、もう感銘を受けています。


こうして見てみるとかなり隠飛羽とは違うんだな。






ふと視線を感じて顔を上げてみると、頬ずえをついた南城君が私を見ていた。



「……何?」


……え、なんかついてた?


ちょっと返事にどきどきしてたんだけれど、返ってきたのは予想外な返事。





「笑ったな。」


「え……うん、そりゃね。」



楽しいからね、と言うと、そうかと南城君は微笑みをこぼした。




「そこで楽しいが出てくるところが、お前、出来た人間だよな。」

「出来た人間?」

「別名男たらし。」

「それ出来てるって言えるの?」

「最高級の褒め言葉だぞ。」





褒めてはないと思うよ。

むしろ貶してるよね。




「初伊、鞄貸せ。」

「?」




言われるままに、スクールバッグを手渡すと、暫くじっとそれを眺めていた南城君。


何してるんだろう……とその様子を見ていると、ポケットの裏側からコードのようなものが日本出てきて。


あれ、私、こんなの持ってたっけ?と首を傾げれば、南城君が衝撃の真実を告げる。





「やっぱり付いてたな。盗聴器。これはGPS。」



……はい?



「これは誰がつけたと思う?」



思いつくのは一人しかいない。




「……恵。とうとう犯罪行為に……!」

「残念。」

「……え。」



だってもう、アテがないよ。

誰がつけたって言うの?




< 53 / 422 >

この作品をシェア

pagetop