プリキス!!
*
「ただいま。」
「こんにちはー……。」
旧校舎音楽室。
恐る恐る橘の後ろからその部屋に入ると、沢山の視線に晒されて。
「「「「烏丸さんだ!」」」」
はい、烏丸さんです。
心はいい人でも見た目はやっぱり怖いなぁ、なんて思っていたら、こっちを見ている不良達の中に、見覚えのあるチャラ男を見つけた。
「高橋君。」
「烏丸さん、こんにちは。」
高橋君の頬には湿布が貼られて、ところどころ殴られた後があり痛々しい。
「一昨日は迷惑をおかけしてしまい……本当にすみませんでした。」
そう言って頭を下げると、慌てた調子で止めてよ、と声がする。
「烏丸さん、怪我してない?大丈夫?」
「私は大丈夫だけど、高橋くんが……。……怪我をさせてしまって……本当にごめんなさい。」
「謝らないでよ。別に俺は不良だし、怪我位しょっちゅうするから気にしないで。」
女の子に傷が残らなくて良かった、と言う高橋君。
そんな彼に私は、ごめんなさいではなくありがとうと言った。
「高橋君、ありがとう。」
どういたしまして、と高橋君は微笑んでいた。
「初伊ちゃんだっ。」
後ろから抱きしめられて振り向くと、そこにいたのは姫先輩。
「姫先輩、お邪魔してます。」
「えれなだよ?」
いえ、姫先輩と呼ばせてください。
……はっ!
気づいてしまった。
西にいたら、リアル漫画みたいな逆ハーが見れるんじゃないかって。
姫を取り合う総長と副総長。
更に敵対高校も姫が好き……みたいな!
でもその肝心の総長と副総長が恵と橘なんだけどさぁ。
事実は作れなくても、妄想は出来るよね!
お姉ちゃん、幸せな時間をありがとうございます。(意味深)
「今日はどうしたの?」
ぴょこんと効果音がつくかのように首を傾げる姫先輩。
私も身長は低い方なんだけれど、姫先輩はもっと低くて上目遣いになっていて、凄く可愛い。