プリキス!!








「ただいま。」

「こんにちはー……。」



旧校舎音楽室。


恐る恐る橘の後ろからその部屋に入ると、沢山の視線に晒されて。




「「「「烏丸さんだ!」」」」



はい、烏丸さんです。


心はいい人でも見た目はやっぱり怖いなぁ、なんて思っていたら、こっちを見ている不良達の中に、見覚えのあるチャラ男を見つけた。



「高橋君。」

「烏丸さん、こんにちは。」




高橋君の頬には湿布が貼られて、ところどころ殴られた後があり痛々しい。




「一昨日は迷惑をおかけしてしまい……本当にすみませんでした。」


そう言って頭を下げると、慌てた調子で止めてよ、と声がする。



「烏丸さん、怪我してない?大丈夫?」

「私は大丈夫だけど、高橋くんが……。……怪我をさせてしまって……本当にごめんなさい。」


「謝らないでよ。別に俺は不良だし、怪我位しょっちゅうするから気にしないで。」


女の子に傷が残らなくて良かった、と言う高橋君。






そんな彼に私は、ごめんなさいではなくありがとうと言った。


「高橋君、ありがとう。」


どういたしまして、と高橋君は微笑んでいた。







「初伊ちゃんだっ。」


後ろから抱きしめられて振り向くと、そこにいたのは姫先輩。


「姫先輩、お邪魔してます。」

「えれなだよ?」


いえ、姫先輩と呼ばせてください。






……はっ!


気づいてしまった。


西にいたら、リアル漫画みたいな逆ハーが見れるんじゃないかって。


姫を取り合う総長と副総長。

更に敵対高校も姫が好き……みたいな!



でもその肝心の総長と副総長が恵と橘なんだけどさぁ。


事実は作れなくても、妄想は出来るよね!


お姉ちゃん、幸せな時間をありがとうございます。(意味深)






「今日はどうしたの?」


ぴょこんと効果音がつくかのように首を傾げる姫先輩。


私も身長は低い方なんだけれど、姫先輩はもっと低くて上目遣いになっていて、凄く可愛い。


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