プリキス!!
「え……じゃあさ、私をここに入れたくなかったのは、それだけの理由?」
一瞬きょとん、とした恵。
だけどすぐにその顔は不満げになって。
「何それだけって。てか状況分かってる?押し倒してるんだよ?俺。」
「私が部外者だからじゃなくて?」
「部外者?初伊が?ふざけてるの?」
ふざけてないもん。真剣に聞いてるんだもん。
「俺がどれだけ初伊の事好きか知ってるよね。その上で言ってるなら、呆れるけど。」
「…………良かった。」
割と突き刺さった部外者という言葉。
確かに他人だけど、なんだか悔しくて、悲しくて。
刺さったトゲは、抜けたみたいだ。
「ちょっと拗ねてたの、それのせい?」
「拗ねてなんかないもん。」
予想外に顔の距離が近くて、思わず顔をそむける。
てか今更になって気づいたこの体制。
「恵……退けよっか?」
「忠告はしたよ?」
さらに顔を近づけてきた恵。
鼻がもう当たる距離で。
「えっ、ちょ、恵!ほら、風邪菌私の体に入ってほしくないんでしょ!?」
「いいや。初伊が風邪ひいたら看病してあげるし。それに……人に移した方が風邪ってなおるんでしょ?」
移してあげる、と囁く恵。
キスされる……。
やばいやばいやばい。
思わずぎゅっと目を閉じたその時だった。
「果物ナイフあった……よ。」
エンジェル!!!