プリキス!!




side行成






果物ナイフを取りに出た俺だけど、本当は部屋の外で聞き耳を立てていた。


果物ナイフなら、ほら、制服の裏に常備してるから。

何に使うって?それは……ねぇ。






どうして聞き耳を立てているかというのは、簡単に言えば裏切りもの探しの為だ。







東対策としてでも、烏丸が西に来てくれるのは嬉しい。


『橘君、もし良かったら一緒に班組まない?』

『ねー、なんか恵君が変なんだけど……橘君、ヘルプー。』

『橘、橘の親友に立候補!』





『……橘どうしよう。私、もう駄目かも……。』



俺は静かに目を閉じた。





めぐも、烏丸先輩も、北原先輩も、本当に目にいれても痛くない位烏丸を大切にしてるけど、烏丸にとっての親友は俺一人。




唯一の親友は俺だけ。

泣きつくのも俺だけ。

なんていい響き。





俺は手を汚すよ。

俺の二人の親友は、綺麗な世界の人間だから、手を汚すのは俺の役割。





そんな中、聞こえてきたこのセリフ。





「いつもは嫌がっても無理やりするじゃない」



……からすまー、言葉足らずー。



世の中の思春期男女が誤解する言い回ししちゃ駄目だよ……。


案の定、中では軽い騒ぎが起こってる。





「……やっぱり、そういう関係だろ?!」

「総長ベタ惚れだろ!付き合ってるって!」

「じゃあ何で西凛なのに……。あっ。」






途切れた言葉は、



じゃあ何で西凛なのに姫にならないの?だろうね。



それはカナ女だからだけど、まぁ初伊を西凛生だと思ってる西校連盟の不良共はそうは思わない。


宮前えれながいるからって思うよね。




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