プリキス!!
「橘ぁ、ナイスタイミング!」
「行成……そろそろ本当沈めていい?瀬戸内海に。」
烏丸は満面の笑みで、めぐは死んだ目をして俺を見てくる。
両極端な感情を向けられて反応に困るけど取り敢えず……
「あの……そういうのは、他所でやってください。」
知人同士のラブシーン程気まずいものがない。
多方……めぐが襲ったんだろうけど。
*
「違うの、橘!キスした訳じゃないの!未遂なの!」
「そんな浮気した彼女みたいな事言われても……。」
烏丸に果物ナイフを手渡し、それじゃあ俺はこれで、と部屋を後にしようとすれば、めぐから脱出した烏丸に泣きつかれた。
出ていかないでぇーと、腰ら辺に手を回されたため、ドアの前で今度は俺が身動きが取れなくなっている。
「違うの。恵が悪いの、全面的に。だから置いてかないで下さいぃぃ。」
離すまいと力を込める烏丸。
「いや、うん。置いてかないから離れようか。」
「嫌ぁ。」
烏丸はよく俺に抱きつく。
というか全般的に距離が近い。
それは俺をお父さんだとかお母さんだとか言う所から分かるように、完全に安心しきって甘えて来るだけだ。
俺も手のかかる妹みたいに接してるけど、それをよしと思わない人がいるんだよなぁ。
「ほら、恵のせいで橘に誤解されちゃったでしょ?!」
「されちゃまずいの?」
「ダメに決まってるでしょ!」
より一層抱きつく力を込める烏丸。
「橘、まだファーストキスは無事だからね!穢れてないからね!親友でいてね!」
「烏丸は親友になにを求めてるの。」