プリキス!!
……別に烏丸が誰と何しようが関係なく親友でいるのにさ。
悪寒を感じながら俺はそう思った。
……悪寒?
「……あ、烏丸。取り敢えず離れて。急ぎ離れて。命が危ない。」
「何で?」
「視線が怖いから。」
烏丸が俺に甘えるのをよく思わない人。
言わずもがな。めぐの視線だよね。
渋々離れた烏丸。
そんな烏丸に向かってめぐは超笑顔で手をこまねくけど、烏丸は首を振った。
「───初伊、どうして行成には自分から抱きつくの。どうして行成にはそうやって甘えるの。どうして行成「うるっっさいっ!」」
烏丸は近場にあったクッションをめぐに投げつける。
もっとも攻撃にはならないけれど、めぐの口を黙らせるのには十分だ。
「どうして?それは……恵みたいに煩くないから。恵みたいに変態じゃないから。恵みたいに強引じゃないから!」
そういった彼女の目は、座ってて。
めぐと烏丸の口喧嘩はいつものことだけど、今日の烏丸は中々に起こってるみたい。
「強引な男がモテる?そんなの漫画の世界だけだよ。ちなみに私はクールな顔して実は純情なキャラが好きです!よって全てにおいて恵は却下!」
烏丸は長いセリフを言い切って、ぜえはあと息を荒くする。
そんな様子をみためぐは、んー、と涼しい表情で暫く何かを考え込んで
「……ねぇ初伊知ってる?漫画で好きなキャラと実際に好きなタイプは違うらしいよ?」
笑顔で爆弾を投下した。
「……恵は………好きじゃない!」
「嘘。」
眉を寄せる烏丸にやはり笑顔で言い切るめぐ。
「本人が言ってることに嘘も本当もあるか!」
「嘘だよ。だって、初伊が嘘つくときは目が少ーしだけ右に一瞬動くよね。」
0.1秒位ね、とにこやかに笑うめぐに、俺も烏丸も寒気がしたよね。
「初伊を知り尽くしてる俺に死角はないよ。」
ふふふ、と悪魔の声がした。