プリキス!!
「あのさ。」
ふざけた雰囲気から一変、真面目な顔になった橘が言ったのは、私が襲われた事と西のスパイが関係あると思うという橘の持論だった。
「帰り道も把握していたって事は謎だけど。」
「東校生なんてどこにでもうようよいるんだから、見かけた西凛の制服を着た女子に手当たり次第当たればどれかが初伊でしょ。」
そんな適当なものかなぁ、という橘。
でも私も恵の考えに賛成だ。
「あの時、私を見て東の人は“西凛みっけ”って言ったの。目印は西凛の制服だった。もしあの人達が私の特徴でも知ってたら、そこを探すはずだよ。」
目が青いだとか、髪が長いだとか。
それこそ、青い目なんて探しやすい特徴。
東の不良達が知ってれば、きっと「青い目みっけ」とでも言うはずなのにそれを言わないということはやはり、手当たり次第に誰か他の人を襲った可能性もあるということ。
自分のせいで他の人も巻き込んでしまったかもしれないと思うと、なんだか胸がくるしくなって。
そんな私に気がついた橘はそっと背中をさすってくれた。
「仲良くしたいと思ってる烏丸には悪いけど……俺は、宮前えれなが怪しいと思ってる。もともとめぐの彼女じゃなかったし、西の姫でいられる保証は無かった。そこに烏丸が入ってきた。」
「でも、それ以前からスパイ問題はあったんでしょ?自分が姫として所属する連合を弱くすることに姫先輩の利はないと思う。」
「それなんだよね……。糸が繋がらないのは。」