プリキス!!





隠飛羽を出たあとも色濃く残る、連盟の力。


それを自ら弱めるなんて、そんな事は誰でもしないだろう。


手詰まり、という言葉がまさにぴったりな今の状況。


そんな中、恵はいきなり立ち上がった。


「恵?」

「どうしたの?」



彼の顔を見れば、その目はまるで氷のように冷め切っていて。



「別にいいよ。糸を繋げる必要はない。初伊に危害を加えようとした容疑があるなら此処から追い出せばいい。」



恵はそう言ってドアに手をかけた。


待って、と言葉を出すよりも動いた方が速いと頭が理解するよりも先に私は恵の腕を掴んでいて。





恵は私を見たけれど、氷の目はつかみどころのないいつもの恵の目に戻っていた。



「恵、それは西校連盟の為?それとも……私の為?」


「こんな面倒な事、初伊の為にしかしない。」



微笑んで、恵は私の頬に手を寄せる。





「恵……私の為ならやめて。」


「……宮前えれなを庇うの?」


「違う。姫先輩への情けじゃなくて、私のわがまま。」




そう言うと恵はきょとんという顔をして。




「証拠もないのに姫先輩を追い出したら、姫先輩に恵、嫌われちゃう。恵が誰かに嫌われるのは私、嫌なの。」



私を悲しませたくないんでしょ?と問いかけると恵は首を縦に振った。




「なら行かないでくれる?」


「初伊は俺が嫌われたら悲しいの?」



私は、質問に答えろよと思いつつも悲しいと答えた。



「どうして?」

「どうしてってそれは……。」











どうして……だ?




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