プリキス!!



行成は俺を睨む。

でもさ、悪いけど。



「俺が守るのは初伊だけだよ。」


「その偏った愛をもう少し他にも分けてあげてもいいんじゃないの!?」









「ほら、例えば、東校に襲われてる女生徒が烏丸だとする。どうする?」


「問答無用で東校連盟を抹殺する。ていうか、初伊をそういう例にあげないでくれる?」





空想だとしても、許せないから。






「ねぇ、めぐは烏丸の何になりたいの?彼氏?」


「俺はただ、初伊に俺だけを見て欲しいだけ。初伊の世界には俺だけでいい。」




その結果が彼氏なら付き合いたいと思うし、隣人なら隣人でも構わない。



俺だけのものでいてほしい。





「だから行成───。これ以上仲良くするなよ……?あれは俺のだからね?」




牽制の意味を込めて睨み返せば、行成は溜息をついた。






そして、烏丸はモノじゃないよと言った。






「めぐが烏丸をすごく好きなのは知ってる。でも、そうやって籠の鳥みたいに縛りつけようとするのは、間違ってる。


烏丸はめぐのものじゃないよ。この先、烏丸はめぐじゃない誰かを好きになる可能性は十分にあるんだから。


そうなった時、俺は親友として烏丸を祝福するよ。でも……めぐはどうするの?」



「そうなったら……俺は……。」




俺じゃない誰かの隣で、初伊が笑う。

そんなのを考えただけでも胸が痛くて。



祝えるはずがない。





「烏丸は可愛いから、ぐずぐずしてると他の男に取られちゃうんだよ。」



かっこいいとこ見せなよ、と意味深に笑みを浮かべる行成。





「……何か、行成の手の上で転がされた。」


「気の所為だって。」




話しながら歩いていれば、いつの間にか目の前には旧校舎があって。


その先にいるのは、愛しい君。







「さて総長、日取りはいつにする?」


「……明後日。」


「総長の意のままに。」





side恵 end



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