プリキス!!
橘は恵を諌めてから校舎へ歩き出した。
「でもま、嬉しいよ。先月の入学式の後から会えなかったし。てっきり烏丸も西凛来ると思ってたから……寂しいからね。」
「っ……天使!!!!」
伏し目がちに寂しいなんて、小悪魔すぎだよね。
小悪魔だけど思わず飛びついてしまう天使さだよね!
「うっ……て、ちょっと待つ。」
飛びついた衝撃のせいでぐらりとよろけた橘は、不意に真面目な顔になる。
「どうしたの?」
「烏丸……ちゃんと食べてる?!」
ほら、たっくん。一人暮らしだからってご飯抜いちゃだめでしょ。お母さんの佃煮を送ります。
たまには帰ってきなさいよ。
お母さんより
田舎から状況したたっくんを気遣うお母さんが目に浮かんだ。
「次はおかん……本当いいキャラしてるよね。」
「キャラじゃないよ。……ほら、万歳して。ばんざーい。」
「え?」
バンザイと言われると、条件反射に手を挙げてしまうのが日本人。
「はい、めぐ、持ち上げる。」
「ぎゃあああああ!」
うっかり恵に持ち上げられてしまったじゃん!
「どう?」
「駄目。アウト。さっきから軽いと思ってたんだ。初伊、お姉さんいなかったらめんどくさくてご飯たべないでしょ。」
「そんなことな「嘘。太りなよ、いい?」
「やだ。」
太ったらタイトなワンピースとか入らないじゃん。
高校生はおしゃれしてなんぼなんだからっ。
「初伊。」
恵はにっこりと笑って言った。
「知ってた?食事を抜く度にその貧相な胸が更に縮んでいくんだよ。」
貧相な胸が更に縮んでいくんだよ……
更に縮んでいくんだよ……
縮んでいくんだよ……(エコー
「っ……!最低!女の敵!食べればいいんでしょ!私の事仮にも好き好き言ってるなら、甘い言葉の一つでも言いなよ!」
「初伊、愛してるよ。死ぬ時は一緒だよ。」
「重い!」
「(めぐにあんな暴言吐けるのは烏丸だけだよ、本当。)」