プリキス!!



迎えというのはきっとこの人。


私は勝手にバイクの後ろに乗り込んだ。





「東榮まで。」

「ちょ、タクシーじゃないんすから!」

「いいから早く出して!姫先輩のピンチなの!」




その人の背中をドンドン叩けば、発車してくれた。




「あれ、初伊先輩もしかして熱ありません?……熱いっすよ?」



途中、そう言ってスピードを緩められそうになったけど、



「熱なんかない!早く!ハリーアップ!」

「背中叩かないでくださいよ!ちゃんと捕まってないと危ないっすよ!」



どうにかこうにか、東榮に着いた。





どんなに荒れてるかと思った校舎は、真っ白で、傷一つなくて。


それが逆に不気味だった。





「姫先輩は?!…………っ。」



バイクから降りて、その人の方を振りむこうとした。


けど、……当たり前だけど、思いの外自己暗示は効いてないらしい。



思いっきりよろけてしまった。




「やっぱ具合悪いんじゃないっすか!帰りましょうよ!」


「平気だから!姫先輩の場所、連れてって!」

「そんなよろよろになって、何言ってんすか!」



送りますから、とその人は私の腕を掴んで。



「平気だっつってるでしょ!私より姫先輩が危険なの!」

「ほら、足元おぼつかないじゃないっすか!どこも平気じゃないっすよ!」



東榮に行きたい私と、家に返したい東榮生。


訳わからない事になってきた。







< 84 / 422 >

この作品をシェア

pagetop