プリキス!!
迎えというのはきっとこの人。
私は勝手にバイクの後ろに乗り込んだ。
「東榮まで。」
「ちょ、タクシーじゃないんすから!」
「いいから早く出して!姫先輩のピンチなの!」
その人の背中をドンドン叩けば、発車してくれた。
「あれ、初伊先輩もしかして熱ありません?……熱いっすよ?」
途中、そう言ってスピードを緩められそうになったけど、
「熱なんかない!早く!ハリーアップ!」
「背中叩かないでくださいよ!ちゃんと捕まってないと危ないっすよ!」
どうにかこうにか、東榮に着いた。
どんなに荒れてるかと思った校舎は、真っ白で、傷一つなくて。
それが逆に不気味だった。
「姫先輩は?!…………っ。」
バイクから降りて、その人の方を振りむこうとした。
けど、……当たり前だけど、思いの外自己暗示は効いてないらしい。
思いっきりよろけてしまった。
「やっぱ具合悪いんじゃないっすか!帰りましょうよ!」
「平気だから!姫先輩の場所、連れてって!」
「そんなよろよろになって、何言ってんすか!」
送りますから、とその人は私の腕を掴んで。
「平気だっつってるでしょ!私より姫先輩が危険なの!」
「ほら、足元おぼつかないじゃないっすか!どこも平気じゃないっすよ!」
東榮に行きたい私と、家に返したい東榮生。
訳わからない事になってきた。