プリキス!!
「大体、東麻美琴に頼まれたんじゃないの?!私を連れてくるようにって。」
「頼まれましたよ!けど、具合悪い女の子に無理をさせるような事、俺はしないっすよ!」
本来なら、褒められるべき紳士的行為。
でも今の私にとっては、面倒くさいモノでしかない。
「勝手に返したら怒られるんじゃないの?連盟の世界はよく知らないけど、普通に考えて上司の命令は聞くべきじゃない?ええと……」
名前を聞いてない事に今更ながら気がついた。
何君?と聞けば、彼は咳払いをして。
「須藤東中、三年、東校連盟で副総長をしてます、片桐蛍(かたぎり けい)っす。よろしくお願いしますね、初伊先輩♡」
片桐君はいたずらっぽく笑った。
「え……副総長……?」
「そうすよ。」
百パー初対面じゃ下っ端だと思われるんすよね、と片桐君は言ったけど……。
ごめん、私も下っ端だと思ってた……。
「とにかく、帰りましょう?美琴君には適当に謝っときますから。」
ね、と手を差し出される。
具合悪い。
頭も痛くて、涙目だし、この調子だと結構熱もあるとみた。
暖かい布団の中に帰りたい。
けど、帰るわけには行かないんだ。
姫先輩が……一人の女の子が、助けてというんだから。
「別に片桐君に案内してもらわなくても、あの校舎の中には不良達がいるんでしょ?なら自分で行ける。ここまでありがとう。」
くるりと片桐君に背を向け、校舎に向かって歩き出す。
「〜〜〜っ、頑固っすね、先輩!」
片桐君が追いかけてきたのは、それからすぐの事だった。