プリキス!!







「……静か……。」

「そりゃ今、授業中ですから。」



どこよりも荒れてる東校連盟がいるという東榮高校の校舎の中は、とんでもなく静かだった。


校舎自体は綺麗でも、中では不良が煩くしてるんだろうなって思ったんだけど……。




「授業中って……東の不良は授業受けるの?」




少なくとも西では恵はめったに受けてないと聞いたんだけど……。


そう言うと、片桐君はぷはっと肩を揺らして笑い出した。



「そんな真面目じゃないっすよ。大体……俺今サボってるじゃないですか。」


「……じゃあ、南校連盟の人達は、どこにいるの?」


「この先の廊下を超えると、別棟があるんすよね、東榮は。そこから先は南校連盟の溜まり場になってて、普通の生徒は近づかないんすよ。」




真っ白い、ペンキ塗りの廊下。



片桐君が指さした方向、廊下の終わりは、ここから見ても煙たくって。





「外は綺麗で中は真っ黒。なかなか東の本質突いてると思うんすよね。……って先輩、大丈夫っすか?!」


「ごめん……立ちくらみ。」




世界が揺れるみたいに、ゆらゆらする。

なんなの、これ。

恵がうつるほどの風邪、やっぱり超強靭じゃん。





ヨイショと片桐君の声がした。

どうやら私は彼に背負われてるみたいだ。





「家まで送り返す気でしょ……。」



「……もう諦めました。送り返したら、烏丸先輩に怒られちゃいますから。」


女の子を怒らせるのは苦手なんです、と片桐君は笑う。





「片桐君……ちょー……紳士。いい人。」


「あは、知ってますよ。」





そうして片桐君に背負われて、私は境界線へと足を踏み入れた。



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