プリキス!!
*
「……静か……。」
「そりゃ今、授業中ですから。」
どこよりも荒れてる東校連盟がいるという東榮高校の校舎の中は、とんでもなく静かだった。
校舎自体は綺麗でも、中では不良が煩くしてるんだろうなって思ったんだけど……。
「授業中って……東の不良は授業受けるの?」
少なくとも西では恵はめったに受けてないと聞いたんだけど……。
そう言うと、片桐君はぷはっと肩を揺らして笑い出した。
「そんな真面目じゃないっすよ。大体……俺今サボってるじゃないですか。」
「……じゃあ、南校連盟の人達は、どこにいるの?」
「この先の廊下を超えると、別棟があるんすよね、東榮は。そこから先は南校連盟の溜まり場になってて、普通の生徒は近づかないんすよ。」
真っ白い、ペンキ塗りの廊下。
片桐君が指さした方向、廊下の終わりは、ここから見ても煙たくって。
「外は綺麗で中は真っ黒。なかなか東の本質突いてると思うんすよね。……って先輩、大丈夫っすか?!」
「ごめん……立ちくらみ。」
世界が揺れるみたいに、ゆらゆらする。
なんなの、これ。
恵がうつるほどの風邪、やっぱり超強靭じゃん。
ヨイショと片桐君の声がした。
どうやら私は彼に背負われてるみたいだ。
「家まで送り返す気でしょ……。」
「……もう諦めました。送り返したら、烏丸先輩に怒られちゃいますから。」
女の子を怒らせるのは苦手なんです、と片桐君は笑う。
「片桐君……ちょー……紳士。いい人。」
「あは、知ってますよ。」
そうして片桐君に背負われて、私は境界線へと足を踏み入れた。