プリキス!!
昔使っていた鍵で、扉を開けた。
前と少しも変わっていない玄関。
階段を上れば、そこには3人の部屋が“あった”。
いつも俺は学校から帰ってすぐに昼寝を始めて。
よく隣で初伊が漫画を読みかけで、眠ってたりした。
姉貴が帰ってきて、ご飯を食べて……。
ふと我に返る。
───俺が勝手に出て行ったくせに、何感傷的になってんだよ。
懐かしいなんて、思う資格は俺にはないのに。
初伊はもしかしたら、部屋にいるのか?と思って階段を上る。
というのも、ようやく“ポカリスエット持参”の意味が分かったからだ。
多分、熱でも出したんだろう。
姉貴は俺に看病をまかせたんだろうな。
初伊の部屋の隣にあった俺の部屋。
初伊の部屋に向かえば、“KIRA”と書かれたドアプレートが必然的に目に入って。
「……まだ……あったのか。」
思わず、声に出してしまった。
絶対にないと思ってた。
毎日、目に入るところにあるネームプレート。
俺の名前なんて、見たくもないだろうに。
無意識に、ドアノブに手をかけて俺はドアをあけたんだ。
「……なんで……そのままなんだよ……。」
扉の先には、あの日とほとんど変わらない姿の自分の部屋があった。