プリキス!!
それはつまり、初伊がGPSが付いているものを持たずに家を出た、という事。
「肝心な時に何一つ役に立たないな……っ!」
攫われたのでなければいい。
例えば西に呼ばれた、とかなら構わない。
だけど……
「悪ぃな、吉良。東麻に初伊の顔バレた。」
連盟のいざこざに巻き込まれてたら?
俺は外に停めておいたバイクに飛び乗った。
向かう先は、西凛。
西凛の旧校舎はよく声が響く。
それは今俺にとって、凄く都合が良かった。
「西巴!!橘!!」
玄関に立っていたヤンキーを睨み、
「烏丸吉良が来たと伝えろ。」と告げた。
「は、はいっ!」
そう言ってヤンキー達は走ったが、どうやらそれは無駄だったようで。
西凛高校の旧校舎はよく声が響く。
「何ですか、お兄さん。単身で攻めに来ましたか?」
気が付けば、階段の上から西巴と橘が俺をじっと睨んでいた。
「初伊は?」
「初伊?」
そう聞けば、総長の顔から普通の男子高生の顔に変わる西巴。
聞き返す辺り、初伊はここには来ていない。
「お兄さん、初伊がどうしたんですか?!」
「今日は熱を出して、俺が看病しに行ったんだが、スーパーに行ってる間に……いなくなった。」