プリキス!!





「先輩、一大事なら、もっと焦った顔してください!!」



そう告げると、よくわからない所で橘にキレられた。






「お兄さん、初伊は何処に攫われたか分かってるんですか?」


「いや、まだ。もしかしたら西にいるんじゃないかと思ってここまで来た。」






西にはいなかった。

と言うことは、後は北か東か。

もしくは全く関係ない怨恨か。





「ねえ!今日は宮前先輩は休みだって?!」


橘が叫べばどこからか、そうですと声がして。





「これ完全に宮前えれなが黒だって!烏丸は絶対東にい《ほーたーるのひーかぁり、まーどーのゆきー。》」







途端にざわめく西校連盟。


「誰だよ、これ。」

「くくっ、どんなセンスしてんだよ。」






「悪い。──俺だ。」


失笑していた西校連盟の奴らの笑いはその一言で止まった。


その代わりに“や、やべえ……”という雰囲気を作り出してしまったが。



画面を見れば、非通知。






「先輩、スピーカーにして下さい。」

「ああ。」






スピーカーモードにして、通話ボタンを押す。


「……もしもし。」

「……スピーカーにしてるよね、雑音聞こえるし。趣味悪いねっ、吉良君。」



ふふふ、という耳に障る笑い声を、俺は何度か聞いている。




やはり───東か。


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