プリキス!!
「蛍、調べてよ。詳しい素性とー、何処に住んでるかとー、あと連絡先とか。明日までにねっ。」
「勘弁してくださいよ……。」
金持ちな訳でもなく、喧嘩が強い訳でもない俺が中学生にして連盟の副総長になれたのは、俺がハッキングが得意であるからだ、と思う。
政府の要所に入り込むのは朝飯前。
マンションに帰り、《烏丸初伊》と俺が自分用に作ったハッキングソフトに入力すると、大量の写真といくつかの個人情報が出てきた。
隠飛羽の情報は、主に二つの所から仕入れられる。
一つは、クイーンの使っているパソコンから。
もう一つは、政府の情報網から。
とりあえずクイーンのパソコンにハッキングしてみれば、隠飛羽での住所と彼女の家の電話番号は見つかった。
「へー、東から結構近いんだ。」
あとは、素性だっけ。
隠飛羽は金持ちの子供を預かってるから、素性チェックは厳しい。
てか、吉良先輩の妹なら調べなくても分かるけど、美琴先輩に逆らう気にはなれないし。
カタカタカタカタ、とキーボードを鳴らして、“隠飛羽入学者選抜(関係者以外閲覧禁止)”と書かれたデータまで飛ぶ。
初伊先輩は中学から隠飛羽にいた組だから、四年前のデータを見ればいいんだ。
いつも通りの楽勝なハッキング。
もうすぐ終わるから、終わったら録画してたテレビでも観ようかな。
そう思って、四年前のデータを開く。
「か……か……からすま……。」
異変に気がついたのはすぐのこと。
「……いない?」