わたしのミカタ
シーン3 記者会見
舞台はもとの部屋にもどっている。
多枝、にやけながらテーブルをバンバンたたく。
ミク 「アホらしい。」
カコ、真剣にテレビを見ている。
ミク 「どうしたの、カコ?」
カコ 「きれいだなーって思って。」
ミク 「滝澤クリスタル?」
カコ 「いいよねー。美人だし、背は高いし、くびれはあるし、
足は長いし、何より知的でカッコイイ!」
ミク 「多枝とは正反対だね。」
カコ 「幸治先輩もこういう人のほうが好きなのかな?」
ミク 「そりゃそうでしょ、幸治先輩も男なんだから。」
多枝 「え?」
クローゼットから幸治・滝澤・記者の格好をした部下・報道陣が登場。
幸治と滝澤は報道陣にフラッシュをたかれている。
続いてクローゼットから金屏風があらわれ、部屋は記者会見場にかわる。
多枝・ミク・カコは報道陣にまぎれてしまう。記者が滝澤にマイクを向ける。
滝澤 「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
この度、私滝澤クリスタルと永田幸治さんが婚約させていただいたことを
ご報告いたします。まだまだ未熟な二人ですけれども
今後ともよろしくお願いいたします。」
記者 「永田さんは一般男性との事ですが、お二人が出会われた
きっかけは何でしょう?」
幸治 「運命です。僕達の出会いにきっかけなんてありません。」
報道陣、幸治・滝澤の答えにいちいちオーバーなリアクションをする。
記者 「では、プロポーズはどのようにされたのですか?」
滝澤 「テレビ局から出てきた私に、一言『結婚しよう』と。」
記者 「ズバリ、滝澤さんの魅力とはなんでしょう?」
幸治 「美貌です。男たるもの、美しい人に惹かれるのは当然でしょう。」
多枝、報道陣に分け入って記者のマイクを奪う。
多枝 「あなたは婚約前にお付き合いしていた女性がいたそうですね。
その人にはどう弁解するんですか。」
会場が静まり返る。
幸治 「多枝、君はまるで『踊る人々』だ。」
多枝 「踊る人々」?
幸治 「群馬県野原古墳から出土した埴輪郡だ。すべての個体が一様に寸胴で
すっとぼけた顔をしている。一方彼女を見てみろ。
女性的な曲線に切れ長の目。まさに長野県棚畑遺跡から出土した
『縄文のビーナス』。彼女は日本で最も美しいとさせる埴輪に
匹敵する美貌を持っている。」
多枝 「幸治先輩。」
幸治 「多枝、君と彼女とではもとから出来が違うんだ。
この際はっきり言っておこう。君は僕のタイプじゃない!」
多枝、その場に硬直する。幸治と滝澤、フラッシュをたかれながら
報道陣とともにクローゼットに帰って行く。
報道陣が去ると、座り込んだカコと立ったままのミクが取り残される。
記者、クローゼットに入り扉を閉める。
舞台がもとの部屋にもどる。多枝、顔を伏せながら部屋から駆け出す。
ミク 「多枝!・・・カコ、もうやめなさい。」
カコ 「私、幸治先輩のことずっと信じてたのに。」
ミク 「全部あなたの妄想よ。」
カコ 「何よ!幸治先輩のこと信じてもないくせに!」
ミク 「私は確実な幸せが欲しいの。
相手を疑いながら待ち続けるなんてバカみたい。」
カコが冷蔵庫から大量の酒を持ってくる。
カコ 「私も飲む!」
ミク 「いい加減にしなさい。アルコール中毒になっても知らないわよ!」
多枝 「ほっといてよ!」
多枝とカコ、缶ビールを一気飲みする。
カコ 「これ、にがーい。」
カコ、床に倒れ動かなくなる。
ミク 「言わんこっちゃない。」
多枝 「ねえ。」
ミク 「なに?」
多枝 「もし私がアルコール中毒で死んだら、
幸治先輩は悲しんでくれるのかな?」
ミク 「バカ!勝手にしなさい!」
ミク、部屋から出て行く。
多枝、ベッドによりかっかって酒を飲み続ける。
多枝 「幸治先輩なんて・・・大っ嫌い。」
多枝、にやけながらテーブルをバンバンたたく。
ミク 「アホらしい。」
カコ、真剣にテレビを見ている。
ミク 「どうしたの、カコ?」
カコ 「きれいだなーって思って。」
ミク 「滝澤クリスタル?」
カコ 「いいよねー。美人だし、背は高いし、くびれはあるし、
足は長いし、何より知的でカッコイイ!」
ミク 「多枝とは正反対だね。」
カコ 「幸治先輩もこういう人のほうが好きなのかな?」
ミク 「そりゃそうでしょ、幸治先輩も男なんだから。」
多枝 「え?」
クローゼットから幸治・滝澤・記者の格好をした部下・報道陣が登場。
幸治と滝澤は報道陣にフラッシュをたかれている。
続いてクローゼットから金屏風があらわれ、部屋は記者会見場にかわる。
多枝・ミク・カコは報道陣にまぎれてしまう。記者が滝澤にマイクを向ける。
滝澤 「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
この度、私滝澤クリスタルと永田幸治さんが婚約させていただいたことを
ご報告いたします。まだまだ未熟な二人ですけれども
今後ともよろしくお願いいたします。」
記者 「永田さんは一般男性との事ですが、お二人が出会われた
きっかけは何でしょう?」
幸治 「運命です。僕達の出会いにきっかけなんてありません。」
報道陣、幸治・滝澤の答えにいちいちオーバーなリアクションをする。
記者 「では、プロポーズはどのようにされたのですか?」
滝澤 「テレビ局から出てきた私に、一言『結婚しよう』と。」
記者 「ズバリ、滝澤さんの魅力とはなんでしょう?」
幸治 「美貌です。男たるもの、美しい人に惹かれるのは当然でしょう。」
多枝、報道陣に分け入って記者のマイクを奪う。
多枝 「あなたは婚約前にお付き合いしていた女性がいたそうですね。
その人にはどう弁解するんですか。」
会場が静まり返る。
幸治 「多枝、君はまるで『踊る人々』だ。」
多枝 「踊る人々」?
幸治 「群馬県野原古墳から出土した埴輪郡だ。すべての個体が一様に寸胴で
すっとぼけた顔をしている。一方彼女を見てみろ。
女性的な曲線に切れ長の目。まさに長野県棚畑遺跡から出土した
『縄文のビーナス』。彼女は日本で最も美しいとさせる埴輪に
匹敵する美貌を持っている。」
多枝 「幸治先輩。」
幸治 「多枝、君と彼女とではもとから出来が違うんだ。
この際はっきり言っておこう。君は僕のタイプじゃない!」
多枝、その場に硬直する。幸治と滝澤、フラッシュをたかれながら
報道陣とともにクローゼットに帰って行く。
報道陣が去ると、座り込んだカコと立ったままのミクが取り残される。
記者、クローゼットに入り扉を閉める。
舞台がもとの部屋にもどる。多枝、顔を伏せながら部屋から駆け出す。
ミク 「多枝!・・・カコ、もうやめなさい。」
カコ 「私、幸治先輩のことずっと信じてたのに。」
ミク 「全部あなたの妄想よ。」
カコ 「何よ!幸治先輩のこと信じてもないくせに!」
ミク 「私は確実な幸せが欲しいの。
相手を疑いながら待ち続けるなんてバカみたい。」
カコが冷蔵庫から大量の酒を持ってくる。
カコ 「私も飲む!」
ミク 「いい加減にしなさい。アルコール中毒になっても知らないわよ!」
多枝 「ほっといてよ!」
多枝とカコ、缶ビールを一気飲みする。
カコ 「これ、にがーい。」
カコ、床に倒れ動かなくなる。
ミク 「言わんこっちゃない。」
多枝 「ねえ。」
ミク 「なに?」
多枝 「もし私がアルコール中毒で死んだら、
幸治先輩は悲しんでくれるのかな?」
ミク 「バカ!勝手にしなさい!」
ミク、部屋から出て行く。
多枝、ベッドによりかっかって酒を飲み続ける。
多枝 「幸治先輩なんて・・・大っ嫌い。」