指先カウントダウン
教室につくのに、何度か迷子になりそうになって少し時間がかかった。



まだ開けるのが二回目のこの扉。


少し緊張する。



扉を開けると、まだあんまり人は来ていなかった。


何人かもうすでに仲良しグループができていて、ちらほら談笑している姿が見受けられた。



「ねね、咲。ほら、あの教室のはじっこ。サクラくん、いるじゃん」



こそこそっと菜々華に言われて、教室のはじっこをみる。


佐倉くんは、別の男子の席に数人で集まって話していた。



もう、他の子たちと仲良くなったみたいだった。



そうして私がぼやっと佐倉くんを眺めていたら、佐倉くんがこちらの視線に気づいたようでふっと振り返った。



「あっ、桜野さん!おはよー!!」


「さ、佐倉くん、おはよう…っ」



精一杯の声で挨拶を返すと、佐倉くんはひょいっと手をあげて笑う。


そしてまたすぐに友達との話にもどってしまった。


< 16 / 27 >

この作品をシェア

pagetop