指先カウントダウン
「ラッキー、あんま並んでない」


少しだけできている列の最後尾に、佐倉くんが小走りをして並ぶ。


私もそれを追いかけて並んだ。

しばらくして、佐倉くんの番がくる。



「桜野さんは何にする?」


「私?じゃあ…イチゴチョコホイップにしようかな」



注文するのは佐倉くんなのに、なんで私にきくんだろう?


疑問に思っていると、佐倉くんはしばらく悩んだあげく、ぱっと顔を上げた。



「バニラカスタードにしよ!バニラカスタード1つと、イチゴチョコホイップ1つお願いします」


「えっ?」



なんで私の分も?


ぽかんとしている私に、佐倉くんはにっと笑って、高校初寄り道の記念に!ってピースサインをした。



佐倉くんも、初寄り道だったんだ。


なぜか少しだけ嬉しくなった。




「あれ、もしかして昨日もう寄り道してた?」


「ううん、私も初めて」


「良かったー!」




佐倉くんが、私の分のクレープも受け取る。



「はい、どーぞ」


私の方にずいっとクレープを向ける。



「ありがとう」





私がクレープを受け取ろうとしたとき。



「…っ!!」







佐倉くんと、手が触れた。

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