distiny〜 失われた過去〜
「アナタ・・・」


徹の思いやりのない言葉に桜子は胸が痛む思いであった。


「出かけてくる!」


「こんな時間から何処へ・・・?」


「何処でもいいだろう!本当 ウンザリなんだよ」


そう言いながら徹は家を出て行った。


桜子は涙に沈むばかりであった。


そしてその夜 徹は帰ってくる事はなかった。


次の日・・・電話が鳴った。


「おはようございます。足立です・・・
夕べ 緑川が家へ来て・・・ベロンベロンになるまで
酔って・・・すいません・・・連絡するの遅くなって・・・」


「あっ・・・おはようございます。すいません・・・ご迷惑かけまして・・・主人は・・・」


「さっき病院から緊急連絡 入って・・・病院へ向かったんですが 当直になるかもしれないので・・・着替えとか・・・僕 持って行きますので・・・」


「そんな・・・お願いするのは気の毒ですから・・・」


「気兼ねなさらないで下さい・・・」


「それでは 用意して 足立さんの家まで 届けに行きますので・・・あと・・・お願い出来ますか・・・?」


「わかりました・・・」


徹の同僚 足立恵介は何度か会ってるが いつも心 優しい人であった。


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