distiny〜 失われた過去〜
「桜子さん・・・泣かないで・・・

アナタは多分・・・

今まで ずっと泣いていたに違いない・・・

これからは泣くのではなく・・・

これからの人生 ずっと

笑えて楽しく送れるように

それを僕みたいな者で

アナタの力になれるなら

僕はこれからも ずっと

出来る事 全て注いで行くので

もう 泣かないで・・・」
二人は時間の経つのも


忘れるぐらい話し・・・


言葉にこそ 出してはいないが


静かに二人の間には愛が


芽生え始め



大切な存在になっていた


電話を切り 桜子は過去を振り返っていた。


五年前の凄まじいあの悲惨な事 以外は徹との結婚生活に


本当に心から笑ってた事も一度もなく


徹への愛情も偽りだったような気がしてならなかった。


ただ平々凡々な毎日を


繰り返すだけで 唯一の


生き甲斐は早紀と大吾の成長だけで


それが本当の幸せだったのか


改めて考えていた。


そして・・・


あくる朝 足立から連絡が入り 金曜日に


母親を含めて田渕の病院で

会う約束をした。


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