† トータル †
「・・・はあ?」
ミカちゃんから返ってきたのは、そんな間抜けな答えだった。
目元も、ピクリとも動かない。
「何言っているの智也くん」
「ミカちゃん、嘘つかないでよっ!」
「嘘も何も・・・。
私たちはトータルじゃないよ?」
「嘘をつくなっ!
ミカちゃんたちは、トータルだろう!」
「違うよ智也くん。
私たちはトータルじゃない。
あんな犯罪者じゃないよ・・・」
ミカちゃんは悲しそうに目を伏せた。
「トータルって、小説とか漫画とかで出てくる泥棒と全然違う。
悪人だけでなく、弱者からもお宝を奪う。
そんな悪人に・・・私たちは見えるの・・・・・?」
「そっ・・・そんなわけじゃない・・・・!
ただ・・・僕はっ・・・・!!」
「智也くんっ!」
ミカちゃんは焦る僕を見て、叫んだ。
「智也くんは一体、何のためにトータルを捕まえようとしているの?
犯罪者を減らすため捕まえようとしている風には見えないよ!
今の智也くんは、ただの憎しみでトータルを捕まえようとしているんだよ!」
・・・ただの・・・・・憎しみ・・・・・・?