† トータル †
「智也くんは憎しみだけでトータルを捕まえようとしているの!?」
「違うっ!
僕はっ、ただっ・・・・」
母親を探し出したいだけなんだ。
あの犯罪者を捕まえれば、母さんはきっと僕の前に現れてくれるはず。
母さんを探すため、僕は高校生探偵と言われるまで成長した。
僕が高校生探偵になれば、きっと母さんは僕を探し出してくれる。
しかし、その願いは叶わなかった。
だったら。
トータルを捕まえるしかないじゃないか。
あの大泥棒を捕まえたら、きっと母さんは僕の元へ来てくれる。
凄く褒めて、思い切り抱きしめてくれるだろう。
『智也』って、呼んでくれるはず・・・・。
「智也くん。
あなたは自分の目的だけで犯罪者を捕まえようとする人ではない。
人のため、社会のために犯罪者を捕まえる、高校生探偵でしょ?」
「・・・」
「自分の私情に左右されて、目的を失っては駄目だよ」