† トータル †
僕は驚いて、一瞬思考が停止した。
「・・・僕を責めないのか?」
「どうして責めるの?」
「だって僕は、ミカちゃんたちを利用していたんだよ?」
普通はひどいと責めるはずだろう・・・・。
「別に気にしないな」
「どうしてっ・・・」
「・・・私もね、お母さんいないの」
ミカちゃんは寂しそうに笑いながら言った。
「お母さんだけでなく、お父さんもお姉ちゃんも。
親戚もいないの」
「そうなのか・・・?」
「私だけじゃない。
織子も美雨も杏奈も、それぞれ事情があって、私の家に住んでいるの。
美雨と杏奈も両親いなくてね。
それも幼稚園ぐらいの時に亡くしたの。
子どもだけじゃ生きて行けないから、皆して私の家に住んでいるの」
「オリコちゃんは・・・?」
「織子?
織子は小学校入ったとき転入してきてね。
ただ、織子はお母さんはいないけど、お父さんとお兄さんは生きているみたい」
「何故、一緒に暮らさないんだ?」
「・・・私もね、よくわからないの。
お母さんが厳しい人だったみたいで、決してお父さんとお兄さんには会わせようとしなかったんだって」