† トータル †
「ミカちゃん、どうして知らないんだ?」
「・・・織子ね、見てわかると思うけど、常に敬語だし、口数も多くないの。
特に自分の過去に関しては、口を開かないの。
聞いたのが、お母さんは厳しかったってことと、お父さんとお兄さんには会わせてもらえなかったってこと」
「オリコちゃん、お兄さんいるんだね」
「うん。
会ったことないけどね。
しかも、双子のお兄さんらしいよー」
・・・ふた、ご?
父さん、前に言っていた。
僕には、双子の妹がいるって・・・・。
オリコちゃんにも、会ったことのない、双子のお兄さんがいるのか・・・。
そんな身近に、似たような境遇の人がいるのか・・・・?
「オリコちゃん、お母さんは?」
「亡くなったって」
「そうなのか・・・」
「しかも、自殺・・・とかで」
自殺・・・?
「あ、私が言ったってこと、皆には内緒にしてね。
特に織子にばれたら、どうして言ったんだって、責められそうだから」
ミカちゃんは不安そうに僕を見た。
「ああ、大丈夫。
ミカちゃんから聞いたことは言わないし、内密にしておくよ」
僕が言うと、ミカちゃんはホッとしたような笑みを浮かべた。