† トータル †
「オレはまるっきりの初心者だけどよ。
美果は泥棒一家の娘だろ?
美雨は経験者だし。
織子はハッカーだし」
そう。
織子はこの時すでに、イオとして名を世界に広めていたのだ。
「無敵じゃね?」
「そうかもしれないけど、危険じゃない?」
「あたしは反対」
「ボクも・・・賛成出来ませんね」
3人にアッサリ否定され、杏奈は驚くも、すぐに言いだした。
「じゃあ、チューガクセーになったらやろうか」
「チューガクセーになったら?」
「それなら文句ないだろ、美果」
「でも、下手したら逮捕されちゃうよ?
あたし、ユミコ姉ちゃんと約束しているんだよ。
生きるって・・・」
「私も、タイホされたくないよ」
「じゃ、お金はどうするんだよ」
「犯罪は出来ませんね」
「じゃあ、こうしよーぜ。
オレらが盗むのは、依頼人が盗んでほしいと言ったものだけ。
決して、自分たちの欲望のために盗まねーってのは。
これだったら、犯罪じゃなくねーか?」
杏奈の必死さに、私たちは断り続けたけど。
結局は負けたのだ。
しかし後日。
杏奈が当時、泥棒が出てくる漫画にはまったのが、言いだしたきっかけらしい。