† トータル †
「確か君には、娘がいたね」
「へ?」
思わず間抜けな声が出る。
織子のことだと思うが。
何故警視総監が知っている?
話した覚えはないぞ?
警視総監とも話したことないのに。
「実はわたしにも娘がいてね」
「はあ・・・」
「名前は、稲葉織子」
「はっ・・・?」
どうして、警視総監の娘さんと同じ名前なんだ?
これは・・・偶然なのか?
「偶然ではないぞ」
俺の心の声を読んだかのように、警視総監は言う。
「稲葉織子・・・本名は白鳥織子だ」
「どっ、どうして警視総監の娘さんが、ワタクシの娘なんですか!?」
「・・・白鳥智子を知っているか?」
「ワタクシの・・・妻です。
とうの昔に離婚しましたけど・・・」
「その後、白鳥智子がどうなったか知っているか?」
「知りませんけど・・・」
知りたくても、知れなかった。