† トータル †
「探してくれるか?」
「わかりましたっ・・・。
その前に、お願いがあります」
「何だ?」
「織子に会わせてもらえますか?」
「ああ、構わないぞ。
後に来る予定だったからな」
「へ?」
どうして来るんだ?
「織子が家を出て行くときな、俺は言ったんだ。
“次に電話したら、織子は逮捕されなさい”と・・・な」
「逮捕!?」
「織子はハッカーという犯罪者だ。
見逃すわけにはいかない」
「え?
だってあなた、さっき言っていたでしょう?
織子のハッキング能力を使っていたって」
「昔はな。
ただ、今の階級から言って、そう簡単に頼れない。
だからわたしは、電話したら逮捕するぞと言ったんだ」
「電話しただけで・・・?」
「元々わたしは織子になんて興味ない。
織子のような境遇の人に会ってみたかったんだ。
ただ・・・それだけだ」
好奇心で、織子を?
「織子は自分が逮捕される代わりに、友人を探し出せと言ったんだ。
・・・さぁ、早く探しだしなさい」
俺は織子が逮捕されるのは嫌だが、綾部美果ちゃんを探すため、部屋を飛び出した。