† トータル †
「ところで、不思議な時期に転入してきましたね」
寒い智也くんを綺麗に素通りした織子は、わざとらしく口元を上げて聞く。
織子が笑うとぎこちないんだよなぁ・・・。
こんなこと言ったら、冷ややかな視線が来ることは間違いないんだけど。
「僕のこと、知っているよね?」
「ええ。
高校生探偵だそうで」
「最近、ここら辺で泥棒が出ているんだろう?
僕の父が捜査に加わっていてね。
是非助けてほしいってお願いされたんだ」
「そうでしたか。
ではこれからはお父様について捜査に?」
「そうだよ」
げっ!
厄介なことするなぁ・・・。
「頑張ってくださいね」
「ありがとう」
智也くんは爽やかな笑みを浮かべて、私の隣に座る。
ちなみに、私の後ろが織子。
私の右隣が智也くんで、左隣が美雨。
美雨の後ろで織子の右が、杏奈。
「ミカちゃん、良い友達持っているね」
授業中聞かれ、思わず驚く。
そして、笑いながら力強く頷く。