† トータル †








両親も姉も、私に多額の遺産を残していた。

遺産目当てに、多くの知らない親戚が現れたが、私は1人暮らしを選んだ。

まだ・・・小学生になったばかりなのに。



不安は勿論あった。

知らない世界に、6歳にも満たない女の子が放り出されたのだ。

お金に困らなかったのが、唯一の救いだった。



私は近所に住んでいた美雨・杏奈と仲良くなった。

家族同士はそんなに仲良くはなかったが、お互い存在は知っていた。

2人も、私に劣らない過去を背負っていた。

自然に会話は増え、仲良くなった。



小学校入学と同時に転入してきた、織子とも仲良くなった。

織子は6歳だと言うのに、どこか大人びていた。

休み時間は、1人で教室の隅っこで本を読んでいた。

誰も寄せ付けない雰囲気に、私たちは自然に惹かれた。

話しかけてみると、織子とも話が合った。

そしていつしか、4人だけで行動するようになった。



3人は両親も家族もなく、住む家さえなかった。

だから、私の家に皆で住むことになった。



小学校の初めぐらいに、私たちは出会い、現在高校2年生。

約11年間の付き合いになる。



私たちは、4人で1つ。

これからも・・・ずっと。








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