† トータル †
「織子」
「はい」
私の合図で、織子はポケットにしまっていた小型のパソコンを取り出す。
かさばることがないよう、杏奈が織子のために作った特別製。
目にもとまらぬスピードでキーボードを叩いた織子は、顔を上げた。
「どうぞ」
「さすが織子」
「イオだけあるね」
「なっ」
私たちの学校はそこまでお嬢様ぼっちゃま高校じゃないのに、結構セキュリティが厳しい。
学校へ入るためには、学生証を機械に通さないといけないし。
屋上へ行くにも、織子のハッキングが必要。
鍵はあるけど、置いてあるのは職員室。
めんどくさいので、ハッキングで開けている。
「やっぱり良いね屋上は」
「確かに」
「あ~気持ちいいな」
屋上には小さな部屋があり、私たちは常にそこにいる。
ここからトータルの仕事を始めることもあるので、アジトとも言える。
中には4つふかふかの生地で出来ている椅子があり、そこに座る。
ちなみに、昨日盗んだ絵画は、私の部屋にある。
私の家、地下室があるからね。
多くの絵画などの美術品、宝石などが置いてある。