† トータル †
ある時。
オレは両親と妹を失った。
その日は家族揃って、トランプをして遊んでいた。
『ピーンポーン』
「あら、誰か来たわ」
母さんはそう言って、玄関へ向かった。
すぐだったと思う。
「逃げてっ!!!」
母さんの、叫びとも取れる声が聞こえたのは。
不審に思った父さんも、玄関へ向かう。
オレは怖がる妹を抱きしめながら、「大丈夫」と背中をさすった。
一体、母さんのあの叫びは・・・。
暫くして、リビングに来たのは、見知らぬ男だった。
黒いフードを深くかぶり、全身黒ずくめの男。
妹はますます泣き出した。
「・・・シネ」
男は一言静かに呟き、襲い掛かってきた。
オレはとっさに目をつぶった。