† トータル †
しかし、いつまでたっても、痛みも何も感じない。
オレは目を開けた。
男はその場に立ち尽くしていた。
手に持っていたはずの、ナイフがない。
しかし、オレには痛みがない。
男が持っていたナイフは、オレが抱きしめていた、妹に刺さっていた。
妹の背中をさすっていたオレの手は、真っ赤だった。
どうして、アンだけ、生きている?
オレの疑問は、男によって解決された。
「・・・おい坊主」
坊主?
坊主って・・・男のこと?
「お前にも、いつかわかるさ。
女が、どれだけ憎い存在か・・・」
男はそれだけ言って、家を出て行った。
玄関へ向かうと、母さんも父さんも、血まみれで、意識がなかった。
よく見てみると、母さんはナイフでメッタ刺しなのに比べ、父さんは首を切られただけ。
この違いは・・・何だ?
オレはそのまま意識を失った。