† トータル †
数日後。
オレは退院し、お兄さんの元へ向かった。
元々、オレは意識を失っただけで、怪我1つなかったから。
「・・・お兄さん」
声をかけると、お兄さんはガラスに手を当てた。
「・・・オンナ、ダァ」
「へ・・・?」
「ユルサネェ・・・オレヲ、フッタオンナ・・・」
「お兄さん?
違いますよ、アンですよ?」
「チガクネェ・・・。
オレヲフッタオンナ、ユルサネェ・・・!」
「お兄さん!」
お兄さんは、オレと彼女を間違えていた。
オレは泣きながらお兄さんから離れた。
お兄さんっ・・・。
アンに優しくしてくれたお兄さんは、どこに行ったの?
あんなの・・・お兄さんじゃない!
アンの好きだった、
お兄さんじゃないよぉ・・・!
その日は何も食べず飲まず、
オレは泣き続けた。