† トータル †
真面目な美雨のお蔭で、オレらは小学校に入学した。
オレらが皆問題を持ち、美果の家に暮らしていることを、教師たちは認めてはいなかった。
でも、オレらは無視をした。
オレらの世界に入る人間が、許せなかった。
ある時である。
「稲葉織子です」
織子が転入してきた。
どこか大人びているけど、どこか闇を抱えている風に見えた。
オレらの世界に、織子もいれた。
始めは戸惑っていた織子だけど。
自然に溶け込んできた。
ただ・・・
織子はあんまり笑わない。
11年の付き合いだというのに、
未だ敬語も直っていない。
でも、オレは織子も支えて行くつもりだ。
あの日、オレは幼稚園で、美果と美雨に助けられた。
今度は、オレが支えていく番だ。
何があっても助けるから。
例え、
深い闇に堕ちたとしても。