† トータル †
僕はオッケーしようとして、一瞬ためらった。
トータルが出没するのは、遥華(はるか)市だけ。
僕は隣町の学校に通っていたから、捕まえるにはいちいち電車賃がかかる。
あと、気になったらとことん調べる僕だ。
1度トータルに会い、もし逃げられたら、僕は残ると言いだすだろう。
でも、犯罪者を見逃してはいけない。
いくら名探偵になれても、犯罪者を逃したら、意味がない。
「良いよ、トータルを捕まえよう」
『良いのか!?』
「構わないよ」
学校には、休学届けを出した。
もしトータルを一発で捕まえられたなら、僕は再び寮に帰ろう。
そして僕は遥華市にやってきた。
父さんの家に住むことになった。
まあ、僕も昔は住んでいた。
ちなみに僕に母親はいない。
死んだとかいうわけではない。
母親の顔を見たことがない。
父さんは母親のことを、1度も話したことがない。
理由を聞いても、「知らない」の一点張り。
もしかして僕は・・・
望まれた子ではないのか・・・・?