† トータル †






あ、勘違いしないでよね?

私たちは、ただ盗んでいるわけではない。

盗んだものは、全て依頼人に返している。



私たちはトータルは、依頼を受けて盗みを働く。

『警察に言わないこと』を条件に、依頼人は私たちに盗んでほしいものとお金を置いていく。

依頼人が盗んでほしいものを、私たちは盗み、依頼人へ返す。

代金は、お手軽な1000円。




「依頼人はぁ?」



私が苺ミルクを飲みながら織子に聞く。




「来てますね」

「え」

「嫌そうな顔しないでください。
依頼人のためです」

「織子の言う通りだよ美果」

「だってぇ・・・昨日も一昨日も盗んだんだよ?
美雨にはわからないかもだけど、私たちは実行役だよ?
結構疲れるんだよ?
ねぇ、織子ぉ」

「ボクは別に疲れませんけど」

「お・・・織子ぉ」

「文句言わずにやれよ美果
あとうるせぇから静かにしろ。
オレ、眠いんだよね?」

「杏奈の意地悪ぅ!」



あ、気が付いた?

私たち、自分のことを呼ぶ時、皆違うんだ。




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