† トータル †







『そうだね・・・』



父さんはそれ以上話そうとしなかった。



『父さん、僕、大きくなったら探偵になる』

『探偵・・・?』

『有名になったら、お母さん、僕を見てくれるでしょう?』

『・・・』

『父さんにはこれ以上聞かない。
僕自身の力で探し出すんだ』

『・・・・そうか』



父さんは決して、反対はしなかった。

賛成もしなかったけどね。




☆☆☆




ある時僕は、今路家にいた。

トータルが盗みに来た時に備え、警備を厳重にしてほしいと今路家の当主に頼み、僕は帰ろうとした。

ふと、視線が監視カメラの映像にいった。



・・・一瞬。

ほんの一瞬、画面が揺れた。

何かを熱心に記入する警備員は、気が付いていないようだ。



何かを感じた僕は、父さんと一緒に、地下室へ向かった。

今路家で泥棒が入りたいと思う場所が、地下室だから。




予感は当たった。







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