† トータル †
「馬鹿じゃねぇの?」
「・・・ごめんなさい」
「何で断らねぇんだよ」
「・・・だって」
「だって、じゃねぇよ。
美果、自分のしたこと、わかっているのか?」
「・・・わかってます」
「周りの馬鹿共の空気に流されるな、と何度言ったらわかる?」
「・・・ごめんなさい」
「杏奈、それぐらいにしな」
美雨が止めてくれた。
杏奈は美雨を睨むと、フンと言って、部屋へ入ってしまった。
扉を閉める音が、家中に響く。
「杏奈の言うことも、間違ってはいないよ?」
俯く私に、美雨は優しく声をかける。
「周りの空気に流されちゃ駄目。
警察があたしたちを逮捕するって言うから、逮捕してもらいに行くってことだよ?」
「それは嫌っ!」
「そうでしょ?
なら、これから気をつけなね?」
「・・・うん」
「まあ、あの状況じゃ断れないよね?」
私は無言で頷いた。
「杏奈にはあたしから言っておくから。
杏奈に悪気がないこと、わかってあげてね?」
「・・・うん」
今度は力強く頷く。