† トータル †








あたしはずっと不思議に思っていたけど、親戚――――風林寺家に行くことにした。

風林寺家は、長年続く名家。

何に関して名家なのかは知らなかったけど、大きな和風の家に住んでいた。




親戚の家には、多くの子どもがいた。

年齢はバラバラ。

約、10人はいたと思う。


あたしはその中で、最も最年長だったユミコと同室になった。

ユミコも事故で両親を亡くし、施設に入っていたが、親戚に引き取られ、この家に住んでいたのだ。



「名前は?」

「美雨だよ」

「ミウ、早く沢山稼いで、この家から出なさい?」

「どういうこと?」

「この家に長くいたら、死ぬよ」

「へっ?」

「死にたくなかったら、早く沢山稼ぐこと。
良いわね?」

「ユミコ姉ちゃん。
稼ぐってどういうこと・・・?」



ユミコ姉ちゃんが答えようとしたところで、おばさんが入ってきた。



「早く支度をしなさい。
仕事の時間だからね」



支度?仕事?

あたしはわけのわからぬまま、ユミコ姉ちゃんについて行った。





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