† トータル †
ユミコ姉ちゃんは泣いている男子の頭をなで、「家に帰ろう」と言った。
男子は泣きながらも頷き、皆で家へ帰る。
「お帰りなさい、ユミコ班。
さ、盗んできたモノを渡しなさい」
「どうぞ、ボス」
風林寺のおばさんに、ユミコ姉ちゃんは書類を渡した。
おばさんは書類を眺め、満足そうに頷いた。
「上出来よユミコ班。
ユミコ班には、今日来たばかりのアオがいたはずよね?
それなのに立派に作業して。
相変わらず、素晴らしいわね。さすがだわ」
「ありがとうございます、ボス」
「他に何か報告はあるかしら?」
「はい。
ヨシオ・・・ミドリが、捕まったそうです」
「・・・」
今まで微笑んでいたおばさんの顔から、笑顔が消える。
「・・・そう」
おばさんはそれだけ言うと、行ってしまった。
「ユミコ姉ちゃん・・・?」
「・・・疲れたでしょミウ。
今日はもう寝なさい・・・?」
「うん。
でも、お腹空いたよ」
「そういえば、来てから何も食べていなかったっけ?
じゃあ、食事処へ行こうか」