† トータル †
「依頼人、どんな人?」
「・・・男だね」
「盗んでほしいものは?」
「今路(いまじ)財閥の秘密データ」
今路財閥かぁ。
今何故か経営が急上昇している財閥だよね。
噂だけど、裏で暴力団が関わっているとか。
裏の真相を探るため、データを盗むのね。
ちなみに依頼人は、性別・盗んでほしいもの・盗んでほしい理由しか明かさない。
盗んだものは、夜中依頼人が丁度良いと思う時間に、依頼人のポストの中にいれておく。
昨日盗んだ絵画は、今日の夕方、依頼人の家へ届ける予定。
ちなみに、昨日盗んだ絵画は、依頼人の家から美術館の館長が盗んだ盗品。
元の持ち主に返した。
「依頼人が盗んでほしい理由は?」
「・・・娘を殺された」
「「「は!?」」」
織子の言葉に、寝ていた杏奈を含める3人がハモる。
・・・何か今、物騒な言葉を聞いたような・・・・。
「今路財閥の人間だという黒ずくめの男に、娘を殺されたらしい。
依頼人は、復讐を目的に、データを盗みたいと言っている」
「そんなの許せねぇな!」
私たちの中で、最も依頼人の気持ちがわかる、杏奈が怒る。
杏奈も、両親と妹を殺されたから・・・ね。