† トータル †
スクリーン5に入ると、結構人がいた。
「ここだ」
智也くんの隣に座り、間に飲み物を差し込み、ポップコーンを食べる。
キャラメルの甘い味が、美味しい。
暫くして、映画の宣伝が始まった。
面白そうな映画を探したが、宣伝の中にはなかった。
本編が始まった。
刑事の息子である少年が追う泥棒の正体は、少年の彼女。
泥棒の正体を知らない少年だが、少女は自分を追う少年が、彼氏だと知っている。
少年は堂々と「俺、泥棒を捕まえたいんだ」と言い、その度に少女は悲しげな笑みを浮かべる。
そして遂に、少年は彼女が泥棒の正体だと気がついてしまう。
ある意味身分違いの恋なので、少女は少年を刑事である父親の目から守るため、別れを決意する。
しかし、少年は少女を本気で愛していたので、少女を諦めないと決める。
もうすぐで、ラストシーンだ。
『タカシ、わからないの?
あたしは、泥棒なのよ?』
『わかっているさ』
『じゃあ別れましょうよ。
それがお互いのためだわっ・・・』
『じゃあ、何でそんなに泣きそうなんだよ!』
『あたし・・・本当にタカシが好き。
愛しているわ・・・。
でも、あたしは泥棒をして生きて行く運命なの。
パパもママも、タカシとの付き合いを認めていないわ・・・』