『子守唄はTake Five』
「さっきは、何で笑ってたの?」
マスターに突然声を掛けられて、彷徨う思考が戻された。
「私…父の実家で生まれたの
その当時、叔父や叔母はまだ独身で父の実家で一緒に同居していた。
私はとても夜泣きの酷い赤ん坊だったらしく、
家族皆が寝不足で大変だったらしいの…
叔父はアメリカで仕事をしてたんだけど、
向こうで入手したレコードをある時『子守唄』代わりに流してみたら
5曲目の『TakeFive』でピタリと泣き止んでスヤスヤと穏やかな眠りについたらしくて…
それから私の子守唄は『TakeFive』になったの…」
私の説明に口も挟まず聞いていたマスターだけど
「ふ~ん……でも何で笑ったの?」
マスターは何故か私が笑った理由に拘(こだわ)っている。