『子守唄はTake Five』

「さっきは、何で笑ってたの?」

マスターに突然声を掛けられて、彷徨う思考が戻された。

「私…父の実家で生まれたの

その当時、叔父や叔母はまだ独身で父の実家で一緒に同居していた。

私はとても夜泣きの酷い赤ん坊だったらしく、

家族皆が寝不足で大変だったらしいの…

叔父はアメリカで仕事をしてたんだけど、

向こうで入手したレコードをある時『子守唄』代わりに流してみたら

5曲目の『TakeFive』でピタリと泣き止んでスヤスヤと穏やかな眠りについたらしくて…

それから私の子守唄は『TakeFive』になったの…」

私の説明に口も挟まず聞いていたマスターだけど

「ふ~ん……でも何で笑ったの?」

マスターは何故か私が笑った理由に拘(こだわ)っている。

< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop