【短編】さよならなんて言えなくて
なのに、悠真は少しだって私を責めたりしなかった。
「お前のせいじゃない」
「嫌いになったんじゃない」
溢れ出る涙を抑え切れずに泣きじゃくる私に、最後まで優しい言葉をかけてくれた。
でも、あの優しい腕で抱き締めてはくれなかった。
私をなだめるために髪を撫でる大きい手からは、優しさと切なさが伝わってきて余計に涙が止まらなかった。
最後まで悠真に迷惑かけてごめんね。
共に過ごした二年ほどの間。
本当に本当に幸せでした。