【短編】さよならなんて言えなくて
初めて二人で遊びに行ったのは、付き合い始めてから1ヶ月近く経ってからだった。
今までは大勢の内の二人だったのに、みんな言われて半ば無理やり‥。
【デート】って言葉が二人にとっては、照れくさいものだった。
友達の頃はくだらないことをいくらでも話していられた。
なのに【恋人】ってことを変に意識しちゃって、口をつぐんでしまった。
ほとんど会話を交わさずに帰る日もあった。
二人の間にはいつも微妙な空気が流れていた。
‥‥ただ少しずつ回数を重ねるごとに、二人でいることに慣れていった。
笑顔で話せるようになって、帰るのが惜しくなっていった。