【短編】さよならなんて言えなくて
付き合って初めてのイベントは、大好きな悠真の誕生日。
デートして1日中一緒にいたね。
私からのプレゼントは悠真が前から欲しがっていた、財布と手作りクッキー。
「ありがとう!まじ嬉しい」
ちょっと値が張っちゃったけど、悠真の笑顔でそんなの吹き飛んじゃった。
「お礼」
なんて貴方が言って、私をそっと引き寄せた。
少しずつ近づいてくる貴方の顔に、私はそっと目を閉じた。
柔らかい貴方の唇に初めて触れた。
一瞬だったけど重なった唇。
恥ずかしそうに笑いながら「好きだよ」って、言った貴方を恥ずかしくて見れなくて、俯いてしまった私。
「私も好きだよ」
言ってあげられなかったけど、伝わってたよね?